2017/3/8
名古屋ウィメンズマラソン2017展望@
3連勝を目指すキルワが今年も“名古屋優勝&国際大会メダル”のキルワ・パターンに挑戦
3年連続“ネガティブスプリット”なら女子単独レース国内最高の可能性も


 今、世界で最も安定して強い女子マラソン・ランナーと言われているユニスジェプキルイ・キルワ(バーレーン)が、「3連勝と2時間21分台の自己記録更新」を目標に来日する。
 キルワは過去2シーズン、名古屋優勝と国際大会のメダル獲得のパターンを続けている。
記録 順位 大会 場所 年月日
2:33:42 1 Asunci?n・パラグアイ 2012/8/26
2:21:41 2 TCS Amsterdam・オランダ 2012/10/21
2:30:00 2 C&D Xiamen・中国 2013/1/5
2:23:34 3 Paris・フランス 2013/4/7
2:23:45 5 BMW Frankfurt・ドイツ 2013/10/27
DNF BAA Boston MA・米国 2014/4/21
2:31:53 1 Lanzhou・中国 2014/6/1
2:25:37 NR 1 アジア大会 仁川・韓国 2014/10/2
2:26:12 1 Danzhou・中国 2014/12/20
2:22:08 NR 1 名古屋 2015/3/8
2:27:39 3 世界陸上 北京・中国 2015/8/30
2:22:40 1 名古屋 2016/3/13
2:24:13 2 オリンピック リオデジャネイロ・ブラジル 2016/8/14

 2015年は名古屋で自己2番目の記録をマークし、北京世界陸上で銅メダルを獲得。2016年は名古屋で自己3番目の記録で2連勝し、リオ五輪で銀メダルと色のランクを上げた。
 世界陸上もオリンピックも、万全の状態で臨めたわけではなかった。
「北京の前はケガをしていた時期があったなかで銅メダルを取ることができ、コンディションが良くなくても行けるのだと自信になりました。リオも2週間前にお腹をこわしたなかで銀メダルを取ることができ、ハッピーでしたし、すごく自信になりました」

 名古屋でのキルワの前後半は、過去2回ともネガティブスプリットだった。15年は中間点が1時間11分08秒で優勝タイムが2時間22分08秒(後半1時間11分00秒)、16年は1時間11分45秒で2時間22分40秒(後半1時間10分55秒)。
 名古屋の主催者はペースメーカーを、陸連要望の中間点1時間12分00秒〜30秒だけでなく、キルワ用にも準備するという。現時点では1時間10分30秒〜1時間11分00秒の設定と推定できる(あくまでも筆者の推測)。国内最高は2月の東京マラソンでサラ・チェプチルチル(ケニア)がマークした2時間19分47秒だが、女子単独レースでは野口みずきが2003年大阪国際女子で走った2時間21分18秒。キルワが3年連続ネガティブスプリットを実行できれば、野口の国内最高記録を上回る可能性は十分にある。
 ちなみにチェプチルチルは昨年、名古屋のペースメーカーを30kmまで務めた選手だ。

 そして名古屋で3連勝を達成したら、3シーズン連続で夏の国際大会でのメダルに挑戦する。
「今年も同じ感じのトレーニングの流れになると思います。名古屋のあと、春にハーフを1本入れて、5、6、7月でマラソントレーニングをしていく。北京が銅、リオが銀ときているので、今年のロンドン世界陸上で金メダルを取ることができたら、とてもハッピーになれると思います。夢みたいでしょうね」

 2010年にケニアからバーレーンに国籍を変更したキルワ。サクセスストーリーの完成へのステップを、名古屋から駆け上がる。


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